10年ほど前、アーティスト数人が家具としても使える芸術作品を作ったおかげで、家具は芸術作品でありえるかという質問をしばしば受ける。家具は家具であり、それが置かれている状況によって芸術ともなり、同様に建築、陶芸、テキスタイル、その他多くのものが芸術であると言える。私の考えとはほど遠いが、こういった混乱を避けるためにアートギャラリーは家具の展示を回避しようとする。これは、アートギャラリーに展示する事により、家具そのものの価値が高騰してしまう事を防ぐためでもある。私の家具は使い心地がよくないので、機能的でないとたびたび言われる。この質問の裏には、ブルジョアがかったヴィクトリア調家具が提示するものと私の家具が相反する事からきている。私が制作した一連の家具は、私にとっては使い心地がいいものばかりだ。つい居眠りしてしまうような椅子や、そこに居座ってしまうような道具を作るなら、いっそベッドを制作する方が望ましいのだ。食事や執筆作業には、肘掛けのない背もたれがまっすぐな椅子が一番適している。残る人間第三の姿勢は立つ事だけである。
—ドナルド・ジャッド「優れたランプを見つけ出すのは難しい」
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