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2011年11月15日火曜日

スミッソンは才気にあふれる文章家である。その文には、難解な専門用語、豊かな修辞、広汎な参照、周到な議論が満ちている。彼が最も盛んに執筆活動をしていた時期(1966 - 1969)が、彫刻からアースワークへの移行期と一致し、無名の芸術の物体から、世界へ侵入してゆく芸術や記号体系に貫かれた芸術への変化期に重なるということは、私には、暗示的に思える。しかしながら、すでに指摘したように、彼の彫刻は、全体の要約や想像される必然性(幻想的な性質のもの)ではなく、複合性と人口性を実証する傾向がある。このように、彼は、1950年代に始まり1960年にまで続いた還元化や本質化の運動に常に抵抗してきたように思える。


中心となる主題は、彼の芸術であり、あるいは少なくとも彼の芸術に内在し、それを導く観念である。彼はヘイドン・プラネタリウムやサイエンス・フィクション、アール・デコやニュージャージーについて書いた。仲間の作歌たちの著述や言語体系としての芸術について、また地質学やメキシコの神話について書いた。彼のデータの特殊性とその複雑多岐な経路を示すために「地層」(1967年)の中の「白亜紀」を引用する。

 グロビゲリナ軟泥層と青味がかった泥。クレタ、ラテン語で白亜(白亜時代)。「グロッタ、地質学、ゴシック・リヴァイバル」と称された論文。浅い水の中に幅広く堆積した緑砂。オーストラリアにある高台地。堆積物の標本。白亜の淵で発見された飛べない鳥の化石。知られざる絶滅の原因。伝説上の海蛇。山に対する古典的態度は暗い。

ローレンス・アロウェイ「ロバート・スミッソン」

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